Goldberg Variationen & Glenn Gould 2
“演奏は恋愛である。”
ある時から演奏会をしなくなったグレン・グールド。
彼の鼻歌混じりのデートが聴けるのが
“ゴールドベルク変奏曲 1981”
前作から26年。
若き日の録音は、若き日だったからこその名演奏で、
こちらは晩年だからこその名演奏。
眠れぬ夜、リラックスして、ただただ音楽に身を委ねる大人の喜び。
若い頃、そして長い年月を経た後では、あまりにも印象がかわります。
この2つの“ゴールドベルグ変奏曲”を聴き比べる事は、
例えるなら、同じワインの熟成前後を飲み比べしているようなもの。
ワインで熟成前後を並べて飲み比べるのは厳密にいうと不可能なので、
これはとても貴重な体験なのではないでしょうか。
ワインも音楽も、人は皆、自分にあったものを素晴らしいと感じます。
どの時期を良いと感じるかは人それぞれ、気分によっても変わるでしょう。
演奏会を止め、録音に徹したグレン・グールドの遺産は、
生演奏ではなく、録音だからこその楽しみを僕たちに与えてくれます。