ベートーヴェン後期のピアノ・ソナタはやさしい。
若い頃のベートーヴェンの、エネルギッシュな感情表現とはどこか違う。
溢れ出るようなメロディは、美しさとはかなさ、幸福感と喪失感があって、
やさしいのです。
あっ、2回言いましたね。
人生にとても疲れた時、ベートーヴェン後期のピアノ・ソナタに包まれると、
僕は少し救われます。
それは、神をおもって音楽をかいたバッハのよう。
心という深海の奥底に触れるような音楽。
ピアノ・ソナタ第30番の第3楽章にはこんな言葉が付けられています。
「歌うように、心の底から感動をもって」
あ〜、だから泣けてくるんですね。
もしもヴィオロンで、朝からこのソナタが流れていたら、
「おっ、ここの店主は昨日呑みすぎたな。」
と、にやにやしましょう。