Mozart Violin Sonatas
3月と4月はモーツァルト強化月間。
と店主が勝手に胸の内に秘めていたので、
お客様の御来店時にはモーツァルトを聴く機会が多かったのではないでしょうか。
あっ、おおっぴらにうたったりしませんよ。
「モーツァルトじゃなくてバッハが流れてるじゃないか。」
とお叱りを受けるのがこわいですからね。
店主は気が小さいのです。
1950年代にウィーンフィルの主席コンサートマスターだった ワルター・バリリ 。
彼のモーツァルトのヴァイオリン・ソナタは、春らしくて特によく流していたようにおもいます。
「いまの四重奏団は技術面からいえば完璧だが、外見の立派さの奥に、
果たして心底からの感動があるか否か……」
現役から引退後、数十年を経た75歳のバリリの言葉。
珈琲にも当てはまるなぁ、とおもいながら、バリリの演奏を聴き、ワインをテイスティングしたりしています。
あっ、ここは珈琲をのんだと書いておくべきでしたね。
店主は真面目なのです。
音が空気の振動であるのならば、
音楽とはお店の空気そのものではないでしょうか。
ちなみに香りは気配。
まぁ、たまに逆になる事もありますが。
細部まで作り込まれた演奏は、芸術として鑑賞するには素晴らしく、
美しいけれど、どこか冷たい。
バリリの時代のウィーンの演奏家達が奏でる音は、優雅で柔らかくて、
暖かい空気に包まれるよう。
芸術は時代に合わせて進化していくもの。
どちらの音楽も素晴らしく、どんな演奏が良いかはその時々で変わります。
かつての名曲喫茶とは違う。
私達が喫茶店に求めるものが多様化している今の時代。
京都の下町の喫茶店には、古き良きウィーンの音楽がよく似合う。