music

Schubert Symphony No.7 “Unfinished“

「永久の未完成、それすなわち完成である」 二十代の頃に訪れた宮沢賢治記念館で出会った言葉。 当時の僕はこの言葉を自分に都合の良いように解釈しました。 自分で納得出来る所までは至らなくても、ある程度まで出来上がったら、締切が完成って事かな。 日…

Gordberg Variationen 3

「世界を変えるのは行動ではない。認識である。」 学生時代、三島由紀夫の“金閣寺”にこの一文を見つけて、 僕は世界が変わった気がしました。 それは三島由紀夫が“宴のあと”で伝えたかった事でもあるはず。 主人公の眺める庭が、物語の最初と最後で全く違う…

Beethoven Piano sonata No.26

「告別」と聞くと何だか暗くて重い印象。 けれどもベートーヴェンのピアノ・ソナタNo.26 「告別」を初めて聞いた時は、 あれっ、爽やか。 と思うはず。 ベートーヴェン自身が標題を付けたとされる「告別」というタイトルは、 第2楽章の「不在」、第3楽章の「…

Today's coffee

「まったく同じ演奏に出逢う事は二度とない。 それが音楽を不朽のものにしている。」 あるウィーンのピアニストの言葉。 また別のフランスのピアニストは言っています。 「私の演奏は同じ曲でもその日によってちがいます。 何がちがうかというと、演奏の本質…

Beethoven Violin concerto

最後に胸がドキドキしたのはいつだろう。 胸の鼓動を意識する所からこの音楽は始まります。 胸の高鳴りと共に発展して、大空を駆け巡るような第1楽章。 陶酔的で甘美な第2楽章。 オケとソロの幸福な対話の第3楽章。 ソロがピチカートで応える場面なんて、チ…

Tchaikovsky Symphony No.5 × Mravinsky

雪の日にチャイコフスキーの交響曲No.5を聴いてみました。 ムラヴィンスキーとレニングラードフィルによる1978年ウィーンでのライヴ録音。 レニングラードフィルの弦は冷たく、透明感があって美しい。 第4楽章の中盤は、その純粋な音の塊が、吹雪のように遠…

Whistler × 京都国立近代美術館

映画「ライムライト」の中のワンシーン。 夜遅くに酔っぱらって帰ってきたチャップリンが、ヴァイオリンを弾こうとしてこう言います。 「ノクターンなら大丈夫。」 いや、近所迷惑でしょう。 とツッコミをいれるところなのかもしれませんが、妙に納得した覚…

3B

3Bといえば、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。 音楽のバッハ、ベートーヴェン、ブラームス? それともイタリアワインのバローロ、バルバレスコ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ? どれも偉大ですが、重要な事は、私達に対して平等であるということ…

すずの兵隊 × ショスタコーヴィチ 

ディズニーの名作“ファンタジア” それは音楽と映像の共演。 うちの息子は生後3カ月の時から一緒に観ているので、 ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲 No.2 の第1楽章が流れると遊んでいても振り向きます。 そう、特にすずの兵隊が好きなようです。 映像に見…

Mozart Violin Sonatas

3月と4月はモーツァルト強化月間。 と店主が勝手に胸の内に秘めていたので、 お客様の御来店時にはモーツァルトを聴く機会が多かったのではないでしょうか。 あっ、おおっぴらにうたったりしませんよ。 「モーツァルトじゃなくてバッハが流れてるじゃない…

Brahms Violin Sonata No.2

「僕は2番が好きだな。」 「何の事?」って、 ツッコミされそうな始まりですが、ブラームスのヴァイオリン・ソナタの話です。 交響曲第4番を書き終えた後、ブラームスはスイスの湖の近くで夏を過ごし、 一人、静けさの中で作曲をしたそう。 その頃に作曲され…

Brahms Symphony No.1

ブラームスの交響曲第1番に幸福を想う。 夕御飯の後、ちゃぶ台の上に残されたひじきをつまみながら、 子供が遊ぶのを眺めていた時の事。 流していた第2楽章の終わりのヴァイオリン・ソロを聴いて想いました。 「あっ、幸せだ」 幸福とは様々な事が作用して…

Beetoven Piano Sonata No.30 & 31 & 32

ベートーヴェン後期のピアノ・ソナタはやさしい。 若い頃のベートーヴェンの、エネルギッシュな感情表現とはどこか違う。 溢れ出るようなメロディは、美しさとはかなさ、幸福感と喪失感があって、 やさしいのです。 あっ、2回言いましたね。 人生にとても疲…

Brahms Double Concerto Andante

亡くなった栽培家の飼い主を探して、夜な夜な畑に現れるねこ。 そんな葡萄畑で生まれたワインがあります。 エチケットには、ねこと月。 見た目で買ってしまいますよね〜、ねこ好きとしては。 葡萄品種はネレッロ・マスカレーゼとネロ・ダヴォラのブレンド。 …

Beetoven Symphony No.7

ベートーヴェンの交響曲第7番を聴きながら、お米を研ぐのが最近のマイブーム。 第1楽章と第4楽章のリズムが、お米を研ぐ時のテンポになんだかしっくりくるのです。 曲に合わせて、リズミカルに、やさしく、柔らかい気持ちでお米を研いでいると、 ちょうど第1…

Mariage 

「大切な日はいつも雨。」 チャゲ&あすか みたいですが、先日出席した結婚式での新郎の挨拶。 ちなみに披露宴の余興は「YAH YAH YAH」。 想い出の日にはいつも雨があった二人らしく、 霧のような秋の雨に祝福された、詩的な結婚式。 美しい花嫁とウェディン…

Schumann Piano Concerto

「シューマンは明確にとびこえた」 えっ、何を? と想った方には、吉田秀和さんの“主題と変奏”をお薦めします。 僕はシューマンが好きで、この本を読んでからは自分のシューマン好きを肯定するようになりました。 シューマンはピアノ曲が多いので、普段お店…

Beetoven Piano Concerto No.5

ベートーヴェンのピアノ協奏曲 第5番 “皇帝” ナポレオンのフランス軍がウィーンを侵攻。 砲撃のなかで作曲されたのがこの協奏曲らしい。 以前に友人のお父さんからお薦めの“皇帝”を教えていただいた事を思い出します。 演奏はギーゼキング。 第二次世界大戦…

They can't take that away from me

トップ・ハット? シルク・ストッキング? いや確かシャル・ウィ・ダンスだった気がする。 って全部カタカナで書いてしまうと何がなんだかわからなくなってきますね。 あっ、これは映画の話です。 「歌は終わっても、メロディーは残る。」 アステアがこう歌…

Faure Violin sonata No.1

窓から差し込む冬のひざしを眺めながら、 フォーレのヴァイオリン・ソナタを聴くのが最近のマイブーム。 綺麗で華やかだけど、どこか冷たく物悲しい。 印象派の絵画を眺めているような気持ちになって、 なぜだか、しっくりくるのです。 そんな風景と音楽のマ…

Long Vacation

先日、途中までですが、かの名作ドラマ“ロング・バケーション”を観ました。 (昨年再放送していたものを録りためていたのです。) お洒落でカッコいい主人公達の生活。 このドラマでルームシェアという言葉を知りました。 十代の頃、リアルタイムで観た当時は…

TIME OUT

ジャズばかり聴いていた20代前半。 出掛けの準備であわただしい朝の時間。 いよいよ急がなくては遅刻する〜。 という時刻とともに、名盤“TIME OUT”を流し初めるのが恒例でした。 (あっ、タイトルからすでに遅刻していますね。) 特に一曲目が印象的。 ピアノ…

Wine is music

ワインとは音楽である。 ワインに興味を持って、少しだけ踏み込んだ人はよく耳にする言葉ではないでしょうか。 「私にとって1本のワインは交響曲であり、 1杯のグラスワインはメロディのようなものだ。」 有名なフィリップ・ド・ロートシルト男爵の言葉。 ワ…

Brahms Strings Quintet No.2

秋になるとブラームスが聴きたくなるのは僕だけでしょうか。 ブラームスの音楽は、ロマンチックっていうか、 ノスタルジックっていうか、メランコリックっていうか。 とにかく美しく、感傷的で、記憶を掘り下げてくる。 あっ、だから秋にピッタリなのか。 秋…

Beethoven Symphony No.5

ベートーヴェンの交響曲 第5番 この曲に付けられた名前は「運命」。 ベートーヴェンが自ら名付けたわけではないそう。 “不滅の恋”という映画の中で、 ゲイリー・オールドマン演じるベートーヴェンがこんな事を言っていました。 「音楽が表しているのは哲学…

小さな恋のメロディ

“小さな恋のメロディ”という映画の話。 「小さな恋のメロディってゆう映画を、観た事がないなら早く観た方がいいぜ!」 高校時代、最も聴いていた“Blankey Jet City” がそう唄っていました。 「なんと! 僕はまだ観てない。 早く観なくては!!!」 ミーハー…

From the New World

交響曲第9番 〜新世界から〜 作曲はもちろん ドヴォルザーク。 学生時代に卒業論文を書きながら、何度も流し続けていた曲。 理由は単純。 論文のテーマだった黒澤明監督が、「七人の侍」を制作中に聴いていた曲だから。 新世界からの音楽。 それは、冒険の…

Tchaikovsky Serenades for strings

ワインの試験勉強をしていた頃、いつも聴いていた曲があります。 “弦楽セレナード” 作曲はチャイコフスキー。 特に一次試験直前の真夏日には、ただただ何度も繰り返し聴き続けていたように記憶しています。 その頃の僕は、クーラーのない長屋に暮らしながら…

Mariage 

先日、学生時代の友人の結婚式に出席しました。 ジャン・エシュノーズの“ラヴェル”を読みながら、 電車に揺られ、久しぶりの自分の時間。 天井の高いイギリス式教会で、生演奏が心地よく響く。 アンティークの家具とステンドグラス。 夕暮れ時のようで、今が…

Tchaikovsky Piano Trio

「僕のお葬式には フランクのチェロ・ソナタ を流して欲しい。」 そんなセリフを妻にカッコつけて言っていました。 この曲を聴くまでは。 ピアノ三重奏曲 〜偉大な芸術家の思い出のために〜 作曲はチャイコフスキー。 彼の ピアノ協奏曲 第1番 を酷評した事…